我が家には、家族全員の洋服が集まる「タンス部屋」があります。
五畳ほどの小さな部屋にタンスが4つ、中央には洗濯物を畳む作業台を置いていて、毎日の家事に欠かせないスペースです。
一見、ただ家具が並んでいるように見えるかもしれませんが、実は「もしもの時に家具同士が引っかかって倒れきらないように」と配置を工夫していました。
ところが、ある日思いもよらない出来事が起きたのです。
突然の「ガタン!」…タンスが倒れた日
いつものように洗濯物を畳んでいると、背後から「ガタン!」という大きな音が聞こえました。
何事かと振り返ると、なんとタンスが倒れていたのです。
(見苦しいので洋服は隠しました)
そのすぐ横には、ポカンとした表情で尻もちをついている2歳の息子がいました。
どうやら、タンスによじ登ろうとしたときにバランスを崩してしまったようです。
幸い、倒れたタンスは前に置いていた白いタンスに引っかかって完全には倒れず、息子も挟まれず尻もちだけで済みました。
でも、あの白いタンスがなければ、直撃して大怪我をしていたかもしれません。
「倒れかけ」でも、じゅうぶんに危険
今回のことで痛感したのは、「完全に倒れなければ大丈夫」ではないという事です
子どもは予想外の動きをしますし、地震のような揺れが加われば、家具は動いてあっという間に倒れてしまいます。
“倒れかけ”の状態でも、子どもの体に直撃すれば命にかかわる事故になる可能性も。
だからこそ、家具の転倒防止対策を始めることにしました。
家庭でできる家具の転倒防止対策
家具の転倒を防ぐために、家庭でできる対策にはいくつか種類があります。
それぞれの特徴や注意点を簡単にまとめました。
L字金具で家具を壁に固定する
家具と壁をネジでしっかりと固定する方法です。
最も確実な転倒防止策といわれています。
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家具の上部と壁をL字金具で連結
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下地(柱や間柱)がある位置に固定するのが理想
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賃貸でも使える穴が目立ちにくい金具や、接着式もあり
おすすめ家具: タンス・食器棚・本棚などの背の高い家具
注意点: ネジ止めが必要なので、壁の構造や下地の有無に注意が必要です
【ネジ固定】アイリスオーヤマ 家具転倒防止L字金具
アイリスオーヤマ-IRIS-OHYAMA-JTK-L2-家具転倒防止L字金具(アマゾン)
【粘着シート】不二ラテックス 家具転倒防止用品 不動王 L型固定式
不二ラテックス-家具転倒防止用品-不動王-L型固定式(アマゾン)
耐震ポール(突っ張り棒)
家具の上部と天井の間に取りつけて、揺れで家具が倒れるのを防ぎます。
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工具不要で設置も簡単
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白や木目など、インテリアに合うデザインもあり
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設置後は定期的に緩みがないかチェック
おすすめ家具: タンス・食器棚・本棚など
注意点: 石膏ボードだけの天井には設置不可。耐震効果がなくなることもあるので天井の強度も確認しましょう。
アイリスオーヤマ 家具転倒防止伸縮棒Lサイズ
アイリスオーヤマ-家具転倒防止伸縮棒Lサイズ-防災グッズ-KTB-60R-ホワイト(アマゾン)
※家具と天井の高さによって突っ張り棒のサイズが変わるので注意が必要
耐震ジェルマット・滑り止めシート
家具や家電の下に敷いて、揺れによるズレを防ぎます。
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手軽に使えるアイテムで設置も簡単
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小型家電や棚、花瓶などにも活用できる
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跡が残りにくいタイプもあり
おすすめ: テレビ・電子レンジ・花瓶・小型棚など
注意点: 大型家具への単体使用では不十分なことがあります
サンワダイレクト 耐震ジェル
転倒防止ベルト(耐震ストラップ)
家具と壁、もしくは床と家具をベルト状で固定するタイプ。
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柔軟性があり、揺れを吸収しやすい
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賃貸OKの粘着タイプもあり
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位置調整がしやすく設置も比較的簡単
おすすめ家具: タンス・本棚・冷蔵庫・テレビ台など
注意点: 重すぎる家具にはベルトだけでは不十分なことも。粘着式は定期的にチェックを!
転倒防止ベルト テレビ §SANWA 耐震ベルト
我が家が選んだのは「制震タイプ」のL型不動王
我が家では、最終的に「L型不動王」という転倒防止グッズを導入しました。
これは粘着テープで家具と壁を貼り付け、内蔵されたダンパーで揺れを吸収する「制震タイプ」の商品です。ただこの不動王は地震対策であり、子供がよじ登った時にタンスが転倒しないように設計はされていません
当初はネジで固定するつもりでしたが、ちょうどタンスの背面と壁の下地の位置が合わずネジで固定するのを断念。突っ張り棒も高さがあり断念しそこで、粘着タイプの「不動王」を採用することにしました。 震度7の地震に耐えられるようです.
不動王は子供が乗ってしまった時の転倒防止には設計されていませんが設置したことで以前のように多少の事では転倒はしないだろうと思いました(あくまで個人判断です)
以前住んでいた賃貸マンションでも使用していて、退去時に一部壁紙が剥がれた経験はあるものの、設置のしやすさと安心感で再び選びました。
(ちなみにそのときは6年住んでいたこともあり、修理代は請求されませんでした)
プチメモ:耐震・制震・免震のちがいは?
種類 | 特徴 | 例 |
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耐震 | 揺れに“耐える” | L字金具、ネジ固定 |
制震 | 揺れを“吸収する” | 制震ベルト、ジェルマット |
免震 | 揺れを“伝えない” | 免震構造の建物、高層ビルなど |
「L型不動王」の設置手順(我が家の例)
我が家で採用した粘着タイプの「L型不動王」は、ドライバー不要で簡単に設置できるのが特徴です。以下は、実際に設置したときの流れをざっくりですが紹介します
1:タンスを壁から数十センチほど離します
作業スペースを確保するため、タンスをいったん手前にずらします。
2:設置面の汚れをしっかりふき取る
タンスの背面や壁側の設置箇所のホコリ・ゴミ・水分・油分などをしっかり除去します。
ついでにタンスのホコリもお掃除しておくと◎!
ホコリと鉛筆が落ちてました
3:粘着シートの片面をはがして、タンス側に貼り付ける
L型不動王の粘着シートの片側をフィルムから剥がし、タンスに何度か押しつけてしっかりと貼り付けます。※この時まだ壁側のフィルムは剥がさないようにしてください
4:壁側の粘着シートのフィルムをはがす
次に、タンスに貼り付けた粘着シートのもう片方(壁に接する面)のフィルムを剥がします。
5:タンスをゆっくりと壁側に戻し、不動王を密着させる
タンスをゆっくり壁のほうへ動かし、粘着シートが壁としっかり接するように何度も押し付けて密着させます。
↑この状況でタンスを動かしシートを壁にくっつけます.
以上で設置完了です!
ネジ止めや工具も不要で、力仕事もほとんどありません。手軽で安心な対策としておすすめです。
※本記事では設置の流れを簡単にご紹介しています。詳しい作業手順は、商品付属の説明書を必ずご確認ください。
まずは「できること」から始めよう
あの日の「ガタン!」という音は、私にとって警告でした。
正直、家事をしている最中は、同じ部屋にいても子どもから目を離すことは何度もあります。
というより、ずっと目を離さずに家事をするなんて、現実的には無理です。
でも、子どもって、本当に一瞬のすきに信じられないようなことをしてしまうんですよね。
だからこそ、「危ないことをしても、大きなケガにならないように」自宅の環境を整えておくことが大切だと、強く感じました。
また、わが家の息子はまだ2歳。
家具によじ登ることが危険だということは、まだよく分かっていません。
それでも、日々の中で少しずつ伝えていくことにしています。
「のぼるとバタン!って倒れるよ」
「倒れたらいたいいたいだよ」
まだ完璧には伝わらなくても、こうした声かけの積み重ねが、少しずつ心に残っていくはず。
そう信じて、根気よく声をかけています。